固定費・節約
金利を敵に回すな|借りる18%と積み立てる5%の差
U金利って、住宅ローンを組むときに銀行の人が説明する数字でしょ? 普段の暮らしでは、そんなに気にしなくてもよくない?
K金利は、時間と一緒に働く。借りる側では支出を増やし、運用する側では資産を育てることがあるよ。
U寝ている間も? 私より勤務態度がいい。できれば味方の部署に配属したい。
Kその配属を決めるのが、借り方とお金の置き場所なんだ。固定費・節約コラム 金利編
よりみちFIREへようこそ。FIREまで、今日も寄り道しながら考えていきます。
今回は、暮らしの中で静かに働き続ける金利と複利の話です。
金利は、借りる側では家計を押し下げ、長期投資では資産を押し上げることがあります。
ただし、借金がすべて悪いわけでも、投資なら必ず増えるわけでもありません。住宅や教育のために借りる価値はありますし、投資には値下がりがあります。見るべきなのは、誰がどのリスクを負い、時間がどちらに働く契約なのかです。
なぜ宗教は利息を警戒してきたのか
旧約聖書の申命記23章には、同胞に対して、銀・食物などを利息付きで貸してはならないという規定があります。ただし、外国人への貸付は別扱いでした。
イスラム金融では、元本と期間だけで事前に固定・保証される利息を「リバー」として禁じるのが基本です。その代わり、実物取引や賃貸、利益とリスクの分担を使います。お金を出した側が利益を得ること自体を、すべて禁じているわけではありません。
中世ヨーロッパのキリスト教社会でも、貸付そのものから利益を得る「ウスラ」は原則として非難されました。ただ、商業の発達や契約概念の変化を経て、搾取的な高利と正当な利息は徐々に区別されていきます。
三つの宗教すべてを「利息全面禁止」と一括りにはできませんが、利息が弱い立場を追い込む危険は、古くから警戒されてきました。
U宗教が数字の話にここまで厳しいのは、借りた人が苦しくなる場面を何度も見てきたから?
Kそう考えると分かりやすい。事業や生活がうまくいかなくても返済義務が残る形は、借り手の生活を壊しやすい。宗教史の確認先:Sefaria「Deuteronomy 23:20-21」、IMF「Islamic Financial Systems」、Harvard Law School course paper「The Bible, Christian Doctrine, and Lending Money」。教派、時代、法解釈によって違いがあるため、ここでは家計との関係に絞っています。
50万円の18%は、30年で約7,169万円になる?
50万円を年18%で返済せず、利息まで毎年元本に組み入れると仮定すると、30年後の理論値は約7,169万円です。
これは、返済を一切せず、毎年18%で利息まで複利化する仮想計算です。通常の消費者金融は毎月返済し、残高に応じて利息が計算されます。「50万円を借りた人の実際の残高が、必ず7,169万円になる」という意味ではありません。
それでも18%という数字は軽くありません。日本の利息制限法では、元本10万円以上100万円未満の上限金利は年18%です。50万円なら、法律上の上限に当たる水準です。
U7,169万円! 50万円が、30年かけて立派すぎる怪獣になってる。
K怪獣は仮想だけど、18%を長く抱えないという教訓は本物。高金利の残高は、最優先で減らしたい。国内金利の確認先:金融庁「貸金業法Q&A」。貸金業者の上限金利は、元本額に応じて年15〜20%です。契約の利率、遅延損害金、返済方法は個別の契約書でご確認ください。
家計で確認したい、四つの借入れ
「住宅・車・奨学金・リボ払い」は、公的に決められた“四大ローン”ではありません。ここでは、私たちの暮らしで金額が大きくなりやすい四つとして整理します。
たとえば住宅ローンを3,500万円・35年・年1.5%・元利均等・金利一定で借りる単純な試算では、毎月返済は約10万7,000円、総返済額は約4,501万円、利息は約1,001万円です。金利が低く見えても、元本と期間が大きければ利息は1,000万円を超えます。
借入額3,500万円
+35年間の利息約1,001万円
=総返済額約4,501万円
U月10万7,000円なら家賃と似ている、で決めたら利息1,000万円が視界から消えるんだ。
Kそう。月額は入口だけ。総返済額、金利が上がった場合、完済時の年齢まで見よう。ローンには、住まい、移動、教育の機会を先に手に入れる役割があります。だから「借金は全部悪い」で終わらせません。ただし、借りられる上限と、無理なく返せる金額は別です。
リーマンショックにつながった金融危機でも、高い金利だけが原因だったわけではありません。返済能力の低い人への住宅ローン、後から金利・返済額が上がる商品、住宅価格バブル、証券化によるリスクの拡散、金融機関の過剰なリスクが重なりました。
U最初の返済額が安ければ、家計に優しいローンだと思ってしまいそう。
K最初だけで判断しない。金利が変わる条件と、返済額が上がっても払えるかを契約前に確認しよう。住宅ローン試算は、金利が35年間変わらず、ボーナス返済・手数料・保証料・繰上返済を含めない概算です。金融危機の確認先:米国金融危機調査委員会「The Financial Crisis Inquiry Report」。奨学金の種類:JASSO「貸与奨学金」。
反対側に立つと、5%が30年働く
毎月5万円を30年間、年5%で運用できたと仮定すると、元本1,800万円は約4,161万円になります。
こちらもシミュレーションです。年5%が毎年続く保証はなく、途中で大きく値下がりする年もあります。株式などへの投資で得るのは、預金や貸付の確定した「金利」ではなく、不確実な運用収益です。
それでも、余裕資金を長期・積立・分散で運用すれば、時間を味方にできる可能性があります。借りる側の利息は確定的な負担になりやすく、投資する側の収益はリスクを引き受けた結果として生まれます。この違いは混ぜません。
U同じ「毎月5万円」でも、30年続けると元本1,800万円と約4,161万円でこんなに差が出るんだ。
Kただし、右肩上がりの保証はない。生活防衛資金を残し、長期・積立・分散で値動きと付き合うんだ。積立例は、毎月末に5万円、年5%を12で割った月次利回りで30年間運用し、税金・手数料を考慮しない計算です。将来の運用成果を保証しません。金融庁「NISAガイドブック」も、NISAを利用した投資に元本保証がないことを案内しています。
借りる前に見るのは、月額ではなく三つの数字
私たちは、ローンを月々の支払額だけで判断しません。契約書や明細で、次の三つを同じ場所に書きます。
この三つが分かれば、高金利の借入れを優先して返す、借換えを比較する、追加借入れを止めるといった次の判断ができます。住宅ローンのように金利が低く、手元資金を残す価値がある借入れは、急いで繰上返済しない判断もあります。
Uじゃあ、投資より先に借金を全部ゼロにすればいい?
K高金利は優先して減らす。でも低金利の住宅ローンまで急いで返し、生活防衛資金がゼロになるのは危ない。金利と手元資金を一緒に見よう。まとめ
U一件だけなら見られそう。リボの明細、ずっと見ないふり選手権に出してた。
K今日で引退しよう。数字を見れば、金利を敵のまま放置しなくて済む。今日も、FIREまで寄り道しながら。自分たちの選択肢を、一つずつ増やしていきます。
この記事は2026年8月時点の一般的な金融教育情報です。借入れ・繰上返済・借換え・投資の適否は、契約条件、収入、家族構成、手元資金、リスク許容度で変わります。契約書と各機関の最新情報を確認し、必要に応じて中立的な専門家へ相談してください。当サイトの免責事項もご確認ください。